表題番号:2004A-325 日付:2006/03/24
研究課題複数の空間充填走査を用いた画像圧縮技術の開発
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 大学院情報生産システム研究科 教授 鎌田 清一郎
研究成果概要
本研究では,予めテンプレートとして与えられた複数の空間充填曲線を利用して新たな画像圧縮技術の開発を目的として研究を行った.具体的な成果は次の通りである.(1)画像上の複数の特徴的領域(例えば,平坦な領域)を充填しながら連続的に走査するような新たな空間充填走査方法を検討し,必要なテンプレートについて圧縮効率と計算量の関係を導いた。(2)静止画像および動画像を対象とし,木構造表現に基づいた画像の階層的分割を行い,個々の分割領域に複数の空間充填走査を適用して画像を表現し,画像記述に適した効率的な画像圧縮技術を開発した.これは,予測係数を逐次更新する予測符号化方式ALCM(Activity Level Classification Model)を改良し,コンテキストモデル符号化と組み合わせた予測符号化方式である.複数のカラー標準画像を用いた圧縮実験の結果、提案手法は国際標準化方式JPEG2000およびJPEG-LSを越える圧縮性能を得た.また,提案手法は,符号化・復号化処理において国際標準化方式に比べて比較的簡単な処理で済むため,ハードウェア規模がこれらの国際標準化方式に比べて小さく実現できることを確認した.(3)近年標準化されたJPEG2000や次世代のMPEG7などに代表される画像圧縮技術では,単なる画像圧縮のみの手法ではなく,画像の検索,内容抽出なども効率よく行うことができる技術が求められているが,圧縮データストリーム上での部分画像検索が行うことができない.そこで,本研究では圧縮データストリーム上で部分画像検索を行うことができる圧縮方式を検討した.今後は,画像圧縮技術および画像検索技術を組み合わせたシステム全体を構築し,本技術の検索性能およびハードウェア規模を明らかにする予定である.