表題番号:2004A-323 日付:2005/02/18
研究課題微生物を利用した廃棄物処理制御の基礎研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 大学院情報生産システム研究科 教授 大貝 晴俊
研究成果概要
高齢化社会に伴って、紙おむつのニーズは日々高くなっている。それに対して、使用済紙おむつの処理により、ダイオキシンの発生など、環境に悪い影響を与える恐れがあり、また、処分施設の数、残余年数とコスト面を考えて、紙おむつの処理問題は将来の社会的な課題になると考えられている。そこで、バイオ技術を用い、北九州の地元企業と北九州市立大学との共同研究で、使用済紙おむつを自然に分解する研究を行った。
本研究では、木材(杉チップ)由来の微生物群を利用して、排泄物と紙おむつ組成成分に半分くらい占めているセルロースを完全に分解することを目指した。
杉チップで排泄物が分解できることは、先行研究で証明されている。菌による紙おむつの消滅分解率を向上させるため、酵素(セルラーゼ)の力を用いて、セルロースの構造を破壊し、菌に分解しやすい形とした。また、微生物群の増殖に必要な栄養源を考え、紙おむつに対する菌の分解力を最大限高めることを試みた。
次に、菌に分解できないプラスチックの分解について調べた。また、金属イオンを用いて、紙おむつにおける吸水材として使われている高分子吸収材(高分子ポリマー)の分解試験を行い、ほぼ水に分解できることがわかった。
最後に、上記の実験から得られた結果を用いて、実際に小型装置で紙おむつの分解試験を行ないプラスチック部分を除いてほぼ分解できることを確認した。。