表題番号:2004A-315 日付:2005/02/21
研究課題経営システムの設計方法の開発とその理論的研究-イノベーションを視野に入れて-
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 大学院アジア太平洋研究科 教授 黒須 誠治
研究成果概要
 現在の日本の経営学研究に求められている重要な一分野に、イノベーション論がある。イノベーション論をつぎの2つに分ける。一つは、イノベーションとはどのようなものか、ということなど、イノベーションの本質論を研究する分野。もう一つは、イノベーションをどのように行っていけばよいか、という方法論に関する分野である。本研究は後者の方法論に関するものである。一方、イノベーションの対象としてつぎの2つに分ける。一つはプロダクトイノベーション、もう一つはプロセスイノベーション。プロダクトイノベーションは、簡単にいうと新製品開発である。それに対してプロセスイノベーションは、昨今の言葉でいうと新ビジネスモデルの開発である。本研究では、両者を対象にする。というのは、新製品にしても新ビジネスモデルにしても、それは「新システムの開発」という言葉で表現できるからである。本研究は、“新しいシステムの設計法”といってもよい。本課題ではつぎのことを目的とする。
(1)このシステム設計法の論理的矛盾を解決することを行う。そして、
(2)このシステム設計法をさらに使いやすくする。また、
(3)このシステム設計法の基礎となる理論を明らかにする。
(4)この方法を越えた、さらにすぐれたイノベーションシステム設計法を開発する。
 本年度は、(2)を中心に研究した。その結果、本法をさらに使いやすくした。具体的には、目的の展開をわかりやすくしたことである。従来目的の展開は難しかった。しかし、目的展開は“穴埋め問題”の一種になることに気づいたため、目的の目的は穴埋めで考えていけば、比較的楽になることがわかった。こうして、いままで以上に本法を使いやすくすることができた。
 また、本法の考え方に沿って、利害衝突問題の原理と解決方法を体系的に整理した。これは、直接、システム設計とは関係はない。しかし、本法の思考法によって、利害衝突問題解決の原理と方法について、論理的な整理ができたと考える。