表題番号:2004A-285 日付:2005/03/02
研究課題最先端の研究を大学・大学院教育に直結するための教育システムのプロトタイプ開発
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 人間科学学術院 助教授 向後 千春
研究成果概要
 本研究の目的は、最先端の研究内容を、大学の学部教育および大学院教育に直結するための、ハード・ソフトを込みにした教育システムを開発し、大学教育・大学院教育についての新しい展望を開くことである。大学教育は、さまざまな点で改革を続けている。ひとつは、リメディアル教育に見られるような基礎学力の底上げと補償、もうひとつは、インターンシップに見られるような実社会との連携である。しかし、この2つだけではどうしても足りない。それは、先端的研究と学生を結びつけることである。そのことによって、学生は学問領域全体の展望を獲得し、それが基礎的な学習への動機づけになる。一方、教員にとっては研究者としての社会的責務、つまり先端的研究の社会へのフィードバックという仕事を果たしていることになる。
 本研究では、最先端の研究現場をどのようにして教育のための素材(リソース)にすることができるかについて試行した。最先端の研究現場とは、その研究者がフィールドとしているところであり、実験室であり、サーベイをしているところである。また、研究が論文になっていない段階で行われる公式・非公式の研究会であり、同じ領域の研究者仲間との議論であり、学会のワークショップやシンポジウムである。そうした研究現場にカメラマンと記録係、そしてその研究者自身が入り込み、インタビューや今やっていることの自分自身の解説、研究現場そのものの記録をドキュメント化していく。そのようにして教育のためのリソースをできるだけ生の形で収集・蓄積していく。研究代表者(向後)は、自分自身の研究活動を材料として、カメラマン・記録係とともに素材を集める役割を担った。今後は、教材のリソースとしての最終形をにらみながら、素材収集のための方法論について考え、教材を作成していく予定である。