表題番号:2004A-284 日付:2008/06/02
研究課題介護・福祉用ロボット/IT機器のコンテンツ開発と、グローバルなビジネスの創出
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 人間科学学術院 助教授 可部 明克
研究成果概要
<介護・福祉用ロボット/IT機器のコンテンツ開発>

1.介護・福祉用ロボット等の国内ニーズ調査
 (1)理工総研・産学連携室「福祉ロボット研究会」と共同で福祉施設訪問
   介護・福祉用ロボット等の国内でのニーズ調査を行うため、人間科学学術院の福祉系教員の紹介で2箇所、
  および理工学総合研究センター・産学連携室「福祉ロボット研究会(研究代表:可部)」の医師の紹介で1箇所、
  いずれも人科・理工のメンバー共同で訪問し、福祉施設におけるニーズ調査を行った。

    その中で、介護ヘルパーの肉体的疲労を緩和するニーズ(腰痛など)、精神的疲労を支援するニーズ、
   入居者・特に認知症などの方の進行抑制や支援などを行うニーズなど、さまざまなニーズを把握した。
         
 (2)認知症などの方の入居者の支援ニーズへの絞込み
   入居者の方への「感性刺激」により「脳のリハビリテーション」につながると経験的に言われているスヌーズレン
   という考え方および関連デバイスの活用にテーマを、さらにニーズ調査を行った。

     1)日本スヌーズレン協会の関連福祉施設訪問
         群馬県足利市

     2)国際福祉機器展調査
   

2.介護・福祉用ロボット等のコンテンツ開発

 (1)社会的背景とニーズ
   現在、ストレス対策も含めた生涯にわたる心の健康づくりの必要性が叫ばれている。そのストレス軽減のため、
  「癒し」をもとめレジャーなど努めているが、むしろ日常生活の中で癒しを配慮した空間等により、ストレスを
  軽減するニーズも高まっている。これに応えるために、最新のIT・ロボット技術を盛り込んだ、新しい
  「癒しのロボット」「ストレス軽減ロボット」が求められており、生活空間を設計する建築やロボット工学・医学の
  研究者、現場のニーズに詳しい医師が協力して研究開発を進めている。また建築・電機・医療福祉機器メーカなどが、
  新たな事業分野に進出するための基盤技術の構築を目指すこととした。

 (2)採用した基本的手法
   まずオランダで生まれ世界各国に普及してきたスヌーズレンを基本コンセプトに掲げる。これは、重度の知的障害を
  持つ人々との関わりの理念として、スヌッフレン[探索する]とドゥーズレン[うとうとする]の造語として生まれ、
  発展してきた。このコンセプトを基に、家や家具などの生活空間が各個人の心身状況を生体センサ等によって読み取り、
  各個人に対応した空間を演出するべく研究を進め、その後の研究課題に発展的に結びつけた。
   そのために建築と人間の間を繋ぐ役目としてロボットを仲介することにより、スヌーズレンの空間・環境を作りだし、
  認知症の進行の抑制、予防支援、個人に対応した空間の創造などに役立たせることを目的とした。具体的には、
  光・音楽・いろいろな素材の触覚・香りなどを提供するスヌーズレンデバイスや各種機器を使用し、個人のペースで
  感じ取りやすく、楽しみやすい刺激を備えた環境を作り出し、それを仲介役のロボットと一緒に自然と楽しめるよう、
  研究を進めている。


<グローバルなビジネスの創出>

  スヌーズレンのデバイスを開発・製造販売しているオランダのBarry Emons社の社長および技術責任者と懇談し、
 ロボットのインタフェースとしてシステムを構築し、システム全体として導入効果を高められないか、研究を
 進めることで合意した。