表題番号:2004A-269 日付:2005/04/26
研究課題学習者と学習環境のインタラクションをさりげなく支援する知能情報メディアの研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 人間科学学術院 教授 金  群
研究成果概要
 協調学習に基づくコミュニティ型e-ラーニングシステムでは、学習者の自発的な参加および知識情報の共有が奨励される。実践において、こういった学習者主導型e-ラーニングの難しさの1つとして、仮想環境におけるコミュニケーションとインタラクションにあると指摘されている。本研究は、学習者と学習環境のインタラクションをさりげなく支援するとともに、人間とのインタラクションを通じて進化する知能情報メディアを提案するものである。

 本年度では、これまでの研究において提案されている仮想環境メディアの考え方を発展させ、知能情報メディアの基本要件を検討し、モデル化を試みるとともに、知能情報メディアモデルのコアとなる「社会的インタラクション支援フレームワーク」を考案した。また、利用者の個性の差異を超えて、相互理解を促進する仕組みを有し、人間とのインタラクションを通じて進化させるために、知能情報メディアに「暗黙の知」を用いた支援メカニズムを埋め込み、学習環境とコンテンツとのシームレスな統合をはかり、学習者同士間のコミュニケーション、学習者と学習環境やコンテンツとのインタラクションをさりげなく支援する手法を提案している。このような「支援メカニズム」を実現するためには、(1)人間の会話や挙動を観察し、人間とのインタラクションを通じて人間の意図を理解できる知的エージェント技術、(2)多様なデータと知識を統一規格で記述できるXML およびそれを発展させた技術、(3)利用者間のダイレクトなコミュニケーションと情報交換や、対等な知識共有と効率的な配送仕組みを提供できるピア・ツー・ピア(P2P)ネットワーク技術、を融合したアプローチを考案し、本年度では、「社会的インタラクション支援フレームワーク」に基づき、ユビキタスラーニングを実現するためのP2P型プロトタイプシステムを構築し、初歩的な実験を行った。