表題番号:2004A-267 日付:2006/04/18
研究課題15-16世紀イタリア政治思想における古代ローマの継受
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 社会科学総合学術院 助教授 厚見 恵一郎
研究成果概要
 2004年度は、おもに当該テーマにかかわる国内外の一次・二次文献の収集をおこない、読解に着手した。なかでも、インターネット古書サイトを利用して、現在品切れ中のThe Digest of Justinian(ローマ法原文ラテン語英語対訳)を海外の古書店より入手できたことは、文献上の収穫であった。
 ローマ法そのものの研究への着手にくわえて、もうひとつの課題であるルネサンス・フィレンツェ政治思想(とりわけマキァヴェッリ)へのローマ法思想の影響についても研究を進めた。マキァヴェッリにおけるローマ・イメージと共和主義の近代的性格について、研究文献の読解と論文執筆を継続し、これまでの研究にさらに内容を加味することができた。これらをふまえて、これまでのマキァヴェッリ研究の成果を「マキァヴェッリの拡大的共和国----近代の必然性と「歴史の政治学」」と題した博士学位論文にまとめ、2005年1月に早稲田大学大学院政治学研究科に提出し、同2月9日付で受理通知をいただいた。この博士学位請求論文をもとにした単著を2005-2006年度内に上梓することを計画し、現在出版社と交渉中である。あわせて、そのための出版助成金の申請も準備中である。
 2004年度後期から学術院長補佐としての職務が加わったこともあって、当初予定していたアメリカ政治学会への出張は実現できなかったが、これまでの研究の取りまとめと新たな文献収集・読解への着手ができたことは、申請者の研究経過において大きな意味をもつ1年であったと考えている。(2/19/2005)