表題番号:2004A-257 日付:2005/11/22
研究課題女性の公選公職選出規定要因としての選挙制度と候補者支援活動
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 社会科学総合学術院 教授 今村 浩
研究成果概要
 中央地方を問わず、我が国の公選公職者に占める女性比率は、先進民主国中でも低い。一般には、拘束名簿式比例代表制と女性議員比率の高さに相関があるものとされている。しかし、一人一区制諸国と比べても尚、我が国の女性議員比率は低い。この場合の比較の対象としては、アメリカ合衆国とイギリスが挙げられよう。両国についてその選挙制度と候補者調達・補充の実態を研究した結果、選挙民主導型とでも言うべき特異なアメリカ型と政党主導型のイギリスという類型を考えられる。選挙制度以外の要因の比較研究を、今夏上梓する予定にしている。
 英国労働党に見られる、党首主導の女性候補者優先登用は、我が国の政党においては、かなり難しいと思われる。それは、政党構造上の党首の権限の問題である。自由民主党において安部前幹事長の推進した候補者公募の拡大等の試みは、確かに注目に値はする。しかし、これは主に世襲候補者の増殖に対する対策として取り組まれてきた。そして、世襲候補者は、男女を問わぬ点を考えれば、女性候補者の発掘には直結しようも無いのである。
 一方で、当初企図したほどには実態調査ができなかったものの、中央及び地方レヴェルでの、既存政党以外の組織・個人による女性候補者支援活動は、決して一過性のものではなく、かなり定着してきているという印象を受けた。選挙制度の根幹を変えることなく、地方議会選挙における連記制の導入など、部分的に改正することとあいまって、女性議員の今後の着実な増加が期待できると思われる。