表題番号:2004A-193 日付:2005/03/26
研究課題建設資材のリユース市場創出に向けたコスト要因評価モデル
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 教授 渡辺 仁史
研究成果概要
「環境重視型協業建設ヤードの事業化」の産学連携コンソーシアムでは、昨年度のリユース事業評価モデルに引き続き、4年目の本年度はコスト要因評価モデルを構築して、建設資材のリユース市場創出に向けたコスト面からの調査研究を実施した。リユース事業一般に適用するためにモデルは10段階の事業ステップを設定し、各段階でのコスト要因を抽出しコストの最小化を図るための対応策を検討した。
STEP1~5の解体現場でのコストは事業成立の鍵を握っているリユース資材の引取価格について、各種の引き取りタイプとコストの関連を分析した。またリユース市場の信頼性を得るためのインスペクターの業務については、コスト面から能率的な作業範囲を規定した。STEP6の保管施設でのコストの縮減は、バーチャルヤードの活用による適正在庫の方法を検討した。STEP7~8の建設ヤード関連のコストは、バーチャルヤードを核にしてリユース資材に貼り付けたICタグを管理することで、工務店の工作場やメーカーの修理工場などのネットワーク的活動が可能となることを明らかにした。その結果、建設ヤードの用地や施設等の初期コストの大幅なコスト削減が図られることとなる。STEP9のリユース資材の組込み現場では、バーチャルヤードとICタグを連携することで、必要な設計データの提供とジャストインタイムの配送が可能になる。STEP10のリサイクル/廃棄の段階では、ICタグの活用によって、STEP9との共同配送による輸送コストの削減を検討した。
 本年秋には日本国際博覧会会場から多量の廃棄資材が排出される。その有効なリユースの方法についても本研究会では実務レベルで取組んでいる。産業廃棄物の約2割を排出する建設部門では本格的なリユースに係るニュービジネスの誕生が期待されており、インターネットの活用を前提とした本研究の成果が循環型社会の実現に貢献できることを期待している。