表題番号:2004A-192 日付:2005/03/26
研究課題意志選択を行いながら空間を行動するコンピュータマネキンを実現するための企画調査
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 教授 渡辺 仁史
(連携研究者) 理工学総合研究センター 客員講師(専任扱い) 林田和人
研究成果概要
空間内を人間が行動し、その空間を評価するシステムとして、近年コンピュータマネキンが注目されている。しかしこのシステムを実現するためには、以下の問題点がある。
1)空間内の行動を予測する行動モデルの欠如:空間と人間の関係について、行動や心理面から様々な研究が行われているが、行動の予測につながる研究成果は少ない。
2)システムの可視化に関するノウハウの欠如:システムは、コンピュータマネキンが空間内を行動する場面を視覚的に表示する必要がある。しかし、既存のRPG(ロールプレイングゲーム)の手法を用いるしかなく、バーチャルの利点を生かした工夫がなされていない。
まず1)については、サービス施設などにおける「待つ」時間に、人間はどのような行動を行うかについて研究を行った。
これまで、住宅や大規模施設、また都市においても、最短経路や回遊行動など、様々な一般的な行動に関しては十分な研究成果が上がっている。しかし本研究で取り上げる、「待つ」時間での行動などのように、特殊な行動に関する研究はこれまで行われていない。本研究の成果により行動特性が明らかになったため、都市生活行動に多く見られる「待つ」時間での行動を、コンピュータマネキンに組み込むことが可能となる。
2)における問題は、バーチャルであるのにリアルと同じ動きを再現するにとどまり、バーチャルの利点を生かしていない点である。例えば、重要な部分を見せる場合には速度を低下させるなど、バーチャルの利点を活用したノウハウが必要である。
そこで本研究では、3DCGムービー内での移動速度と、距離感覚や空間の理解度との関係を明らかにすることで、利用者にとって空間を理解し易い移動速度を明らかにした。
本研究の成果は、利用者にとってより理解しやすい、コンピュータマネキンシステムのインタフェース構築の一助とすることができる。