表題番号:2004A-185 日付:2006/10/24
研究課題ハイドロバイオタイトからの高機能性環境制御素材の創製
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 教授 山崎 淳司
研究成果概要
 バーミキュライトと一括されている膨潤性雲母様鉱物中のハイドロバイオタイトの実態を明らかにし、典型的なハイドロバイオタイトの結晶構造と物性との関係・発現機構を鉱物化学的方法により解明することを試みた。典型的なハイドロバイオタイトのうち、南アフリカ・トランスバール産、中国新疆ウイグル産他、日本に産業資源原料として輸入されている数産地のものについてキャラクタリゼーションを行った。結晶構造、とくに単位層(バーミキュライト型層と黒雲母型層)の積層構造は、主に定方位粉末X線回折による一次元電子密度分布解析と透過型電子顕微鏡観察によって行った。
 その結果、いわゆるハイドロバイオタイトは、従来報告されている(K、Mg)の規則型混合層構造ではなく、不規則型混合層の積層が卓越しているおり、その不規則性(積層状態)は産地、産状などに依存しないことがわかった。さらにハイドロバイオタイトに、Cu, Ni, Ag, Znなどの遷移金属イオンまたは遷移金属水酸化物、または第4級アルキルアルコールなどの抗菌性を有する有機化合物を構造層間へ導入して複合体の調製を行い、主に黒かびと鉄バクテリアに対する抗菌性を調べた。その結果、遷移金属や有機化合物の徐放性は、主に周囲の溶存イオン種と濃度に大きく依存することが示された。