表題番号:2004A-172 日付:2005/03/19
研究課題グリース潤滑のコアに生成消滅に及ぼす経歴記憶効果の可視化実験とその潤滑理論の構築
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 教授 林 洋次
研究成果概要
 グリースは、その潤滑方法やシールなど潤滑管理が容易であることから、主要な機械要素である転がり軸受では、極めて広く使用されている。グリースは、網目構造の増ちょう剤に基油が分散されている構造のために、小さな応力では流動しないのでコアが生成される。このようなグリースの特異なレオロジー特性に基づいてトライボロジー性能を解明する学問的な研究は極めて複雑で困難であることを意味する。
 そこで本研究では、まず、グリースのレオロジー特性を解明するために、2重円筒方式のレオメータの外筒を一定回転させることによってグリースに降伏応力より大きな一定応力を与え、内筒の応答振動や過渡振動の波形を計測することによって、グリースのビンガム粘弾性レオロジー特性を測定する方法を確立した。石けん系のリチュムグリースと非石けん系のウレアグリースを用い、調度が異なる数種類のグリースのレオロジー特性をひずみ速度の広い範囲に渡って実験した結果を総合的に検討し、グリースのビンガム特性と粘弾性特性の両特性を考慮したビンガム4要素粘弾性モデルの物性値に対して非線形係数の概念を導入することによって、非線形ビンガム4要素粘弾性レオロジー方程式を提案した。
 次に、グリース潤滑膜のコアの生成消滅に及ぼす運転経歴の影響を解明するために、筆者が開発した現有のステップスラストスクイーズ軸受試験機を用い、新規に、コアの生成消滅を撮影するために光を透過するアクリル樹脂でステップパッドを、しかも2つの潤滑面の平行度の精度は数μm以内であることが要求されるので金属でランナーを製作して、回転軸と潤滑面の直角度を保証し、ステップパッドを電磁加振機によってスクイーズ運動させる機構を採用した。コアの時間経歴や詳細な形状を解明するためには高速度ビデオカメラが必要であるが、本研究では家庭用ビデオカメラによってコアの概要を観察した。