表題番号:2004A-170 日付:2006/03/26
研究課題コンクリート構造部材の変形とヒビの自動計測に関する研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 教授 橋本 周司
(連携研究者) 理工学術院 客員研究助手 山口友之
研究成果概要
土木・建築分野において,画像検査は建築物や構造物の安全性を検査・診断するための手法として期待されている.特に,コンクリート表面のひび割れを検出することは,地震による影響や構造物の劣化を診断する上で重要である.我々はこれまでにデジタルカメラにより得られた画像を用いて画像検査を自動化するシステムを製作した.このシステムはシェーディング補正や2値化処理を含む種々の画像処理を組み合わせることにより,ひび割れを抽出・解析するシステムであり,実際の土木・建築の検査に既に利用されている.しかし,ひび割れ検出・解析の高精細化を実現する上で,従来手法のままではひび割れが途切れ途切れに検出される問題があるため,ひび割れ幅の計測が行えない場合があるという課題が残っていた.そこで本研究では,ひび割れ固有の特徴を考慮したひび割れ検出手法を検討した.ここで,ひび割れ固有の特徴とは,ひび割れの方向性や連続性を指す.提案手法では,まずコンクリート表面を撮影したデジタル画像からひび割れを検出するために,前処理としてひび割れの存在する領域(ひび割れ領域)を検出する.次に,検出されたひび割れ領域にのみひび割れ検出処理を施す.ひび割れ領域の検出には,2値画像を対象とするHough変換をグレースケール画像に拡張したGray-scale Hough変換を適用する.Gray-scale Hough変換を用いることにより,ひび割れの直線性と方向性を考慮した検出が可能になる.また,ひび割れ検出には,2次元正方格子のサイトパーコレーションのモデルによるインベージョンパーコレーションを利用する.通常のサイトパーコレーションは4近傍モデルであるのに対し,提案モデルはひび割れの繋がりを表現するため,対角成分を考慮した8近傍モデルとした.局所領域でインベージョンパーコレーションを行い,注目画素がひび割れの一部であるか否かを評価した.これにより,ひび割れが途切れ途切れにならずに検出することが可能となった.さらに,インベージョンパーコレーションをノイズ除去フィルタとして利用することにより,検出精度の向上も可能である.