表題番号:2004A-166 日付:2005/04/19
研究課題住民主体の文化・スポーツクラブと「憩う」場を拠点とした地域づくりに関する研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 教授 中川 義英
(連携研究者) 理工学術院 教授 浅野 光行
研究成果概要
地域に密着した文化・スポーツクラブとともに、まちづくりNPOやボランティア組織および旧来からの地域組織である町会・自治会などを対象として、その活動状況を実地調査した。特に活動の継続のために各々の組織・団体がどのようにして受益者負担を実施し、住民相互の交流「憩い」の場として、どの程度まちづくりに寄与する活動を取り入れ地域に根ざした組織化やクラブ育成を目指しているか、また、住民が何を期待し望んでいるかということを全国の各組織を対象として調査した。
この調査をもとに文化・スポーツクラブ等の地域社会に対する活性化効果を、関係者、クラブおよび住民がどのように認識しているかを把握すると共に、現段階での地域への活性化効果を分析することによって現時点での問題点を抽出しようと試みた。
本年度は、特に文化・スポーツクラブならびに町会・自治会の活動状況と地域との関わりについての把握に努めた。
その結果、その地域の一般住民の考えも踏まえた上で、「文化・スポーツコミュニティ」の成立意義と、その成立がいかに地域社会と繋がっているのかを明らかにした。単一種目のクラブチームが盛んな我が国において、限られた施設をその地域の人々の手で有効かつ、複数の種目・活動を実践できる運営形態を取り入れることの難しさはあるが、一端そのような文化・スポーツクラブが創られると、多様な世代の人々が集まり、熱心に運営されていることがわかった。
 しかし、そこには、「産みの苦しみ」、「育てる苦しみ」、「継続することの苦しみ」が存在するとともに、自主運営ができる力を持つことの必要性も明らかになってきている。それには町会・自治会などの組織、および、まちづくりNPOやボランティア組織との非常に密接な連携をはかること、並びに、陰に日向にこのような体制を仕掛ける個人・組織の熱意が重要であることが明白となった。 このことにより、一人一人が多様な価値観を有する地域社会の中においてその住民が「集い」、「憩う」ための場について一定の有益な示唆を残すことができたと考える。都市計画の分野において本研究が意義があるかどうかについては評価が分かれるものと考えている。しかし、本研究のような視点からの研究が行われ、その成果が生かされるようにしていくことが、今後の都市計画がより明確な形で社会・市民に受け入れられていくために必要であると考える。