表題番号:2004A-163
日付:2005/03/02
研究課題時系列解析における縮小統計量の研究
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | 理工学術院 | 教授 | 谷口 正信 |
- 研究成果概要
独立標本に対しては、縮小統計量の研究は極めて詳細かつsyatematic に進められてきた。しかしながら時系列のような従属な標本に対してはこの様な研究は皆無といってよい。そこで本研究課題では、種々の時系列モデルでの縮小推定量の基礎理論を構築することをもくろんだ。具体的には、多次元正規過程の平均ベクトルの James-Stein 型推定量の平均2乗誤差をスペクトル密度行列の言葉で評価し、通常の標本平均を平均2乗誤差の意味で改善する十分条件を明らかにした。また関与の確率過程が長期記憶過程であるときも
James-Stein型推定量が標本平均を平均2乗誤差の意味で改善するための十分条件を求めた。これは、長期記憶パラメーターと短期記憶部のスペクトルの言葉で表現でき、改善のようすを種々の時系列モデルで数値的にも見た。
さらに時系列回帰モデルで回帰関数がグレナンダー条件を満たし、残差系列が正規定常過程を考える。このとき、回帰係数のJames-Stein型推定量と通常の最小2乗推定量の平均2乗誤差を回帰スペクトルと残差スペクトルの言葉で表し、James-Stein型推定量が最小2乗推定量を平均2乗誤差に意味で改善するための十分条件を求めた。種々の回帰スペクトルと残差スペクトルに対して、この改善のようすを数値的に検証した。
時系列の縮小推定量の研究は端緒についたばかりで、今後、分散量に対する縮小推定量の研究や、局所定常過程に関する縮小推定量の振る舞いの研究をすすめる予定である。