表題番号:2004A-162 日付:2005/03/02
研究課題時系列解析における理論と応用の総合的研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 教授 谷口 正信
研究成果概要

本研究課題では次の4点を遂行した。

(1)非定常時系列解析:非定常時系列の重要なクラスである非正規局所定常過程の推測に関して、まず局所漸近正規性(LAN)を示し
   これに基づいて、漸近最適推測、検定、判別を記述した。さらには撹乱項の分布が未知である場合、これを非母数的に推測し、
   これに基づいて、ダイナミクス部の漸近最適推定も論じた。

(2)時系列回帰モデルのセミパラメトリック推定の高次漸近理論の構築:残差項が定常過程で回帰部分がある種のグレナンダー
   条件を満たす場合のHannan型の回帰係数推定量の2次の漸近分布を求め、2次有効性の議論を行った。

(3)非線形時系列の推定論:非線形時系列の極めて一般的なモデル族であるCHARNモデルに対して、LAN定理を示し、これに基づく
   漸近最適推定論と検定論を構築した。

(4)上記(1)-(3)の結果の実際問題への応用:(1)の結果の応用としては、局所定常過程の判別理論を種々の金融時系列の
   クラスター解析に応用し、非定常時系列データに基づく企業の格付けへの可能性を示した。また(2)の高次漸近理論の応用と   して、収益率を非正規従属過程とした場合のオプションの価格評価を漸近展開をもちいて行った。(3)の応用としては、ある
   疾病患者の脳波と筋電波のCHARNモデルを適合し、生体工学的に重要な脳波と筋電波の関係を把握した。