表題番号:2004A-159 日付:2008/06/03
研究課題汎用2足歩行ロボットの福祉分野への応用研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 教授 高西 淳夫
研究成果概要
本研究では福岡市のロボット開発・実証実験特区において試作機を用いて歩行実験と考察を継続して行い,報告者らの持つ技術の実環境での評価と考察を行うことで,屋外や街路など公道を含む実環境での2足歩行ロボットの運用可能性と技術課題を調査し,改良から実用化を目的とする技術開発へとつなげることを目的とし,2004年7月16日,福岡市のロボット開発・実証実験特区内の商店街において,2足歩行ロボットとしては国内初となる公道での路上歩行実験を開始した.ここから得られたさまざまな知見より,以下のような多岐にわたる研究成果を得た.
また,Stewart Platformは,機構剛性や出力が高いという長所に対し,可動範囲が狭いという短所が存在し,このためにこの機構を用いた脚機構では階段昇降は不可能であると考えられてきた.本研究では設定ZMP軌道や腰の旋回軌道を調整することにより,蹴上高さ250mmの階段昇降,200mmの階段における人間搭乗昇降に成功した.また福岡市のロボット開発・実証実験特区では,ショッピングモール内や屋外の神社入り口の階段における階段昇降などに成功した.
昨年度開発したローカルパターン修正法は,着地衝撃を感知して接地情報を取得しているため,原理的に凹路面には対応できなかった.本研究ではこれを元に,足部に非線形なコンプライアンスを持たせ,歩行パターンから得られる理論コンプライアンス変位と実測コンプライアンス変位を比較することにより,着地衝撃が生じる以前に路面の形状を検知することができる.この路面情報を元に遊脚の荷重が増大しZMPが前に移ってくる以前に着地軌道を変更し路面に倣わせることで,凹路面や傾斜路面にも対応できるようになった.またこの制御法は足部に特別なセンサや機構を必要とせず,床反力計測用の力センサのみを用いて実装が可能であるという利点もある.この手法を用い,高さ20mmの凹凸のある路面における安定歩行を実現した.またこの手法を拡張し,蹴上高さに20mmのばらつきのある階段における安定歩行にも成功した.