表題番号:2004A-145 日付:2005/02/22
研究課題都市観光資源としての夜間景観に関する研究-CBDにおける都市照明計画-
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 教授 後藤 春彦
(連携研究者) 理工学術院 助手 李 彰浩
(連携研究者) 理工学術院 助手 関口信行
研究成果概要
21世紀の社会が国レベルを超え、都市間競争時代を向かっている状況下、優れた都市夜景の形成は都市のみの魅力づくりに1つの有効的な手法であると考えられる。本研究では、このような潜在力ある都市夜景を工学的な観点を持ち、客観的・定量的なデータとして分析・評価することをめざし、以下の3点を研究の目的とした。

1)商業地域の夜間街路照明1)環境を明らかにする。
2)商業地域の公共照明2)の特性を把握する。
3)商業地域の店舗照明3)の特性を把握する。

上記の3つの目的を定量的なデータとして得るために本研究ではこれまで夜間景観の研究でよく使われた照度とともに色温度4)という新たな評価軸を入れ、東京都新宿区歌舞伎町を対象とし、研究を進めた。
その結果、街路照明の場合は所々照度が低い場所が存在するが、全体的にみると新宿歌舞伎町の照度はJISの繁華街基準を遥かに超え、2.5倍以上上回っていることが分かった。そして、色温度は4000K代を表していることが分かった。4000K代の値は一般白色蛍光灯の色温度(4200K)とほぼ一致する値で、歌舞伎町の街路どこでも白色系の光で均一されていることを意味すしている。この街路照明を公共照明と店舗照明に分け、照度と色温度のデータをもとにさらに分析を進めた結果、公共照明は光の属性の中で色温度が店舗照明より街路照明に影響与えていること、そして、店舗照明は逆に照度が街路照明に影響を与えていることが明らかになった。
上記の結果から、本研究で扱った新宿歌舞伎町のような大規模高密度商業地域においてはこれまでの照明環境評価において基準であった照度は随分満たしている想定され、これから商業地域の夜間照明環境を評価する際に照度のみならず、本研究で扱った色温度のような評価項目の設定も必要であると考えられる。また、商業地域においては公共照明と店舗照明の光の役割を分担することも可能ではないかと考えられる。商業活動や人の往来が多い時間代である18:00-22:00は店舗照明のみで街路の明るさは充分確保されるから、店舗照明よりは管理・操作可能性が高い公共照明の色温度を調整することにより街路の雰囲気をアップグレードこともこれからの夜間景観づくりの1つのあり方であると考えられる。