表題番号:2004A-144 日付:2006/02/22
研究課題まちづくり・オーラル・ヒストリーの手法開発に向けた基礎調査
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 教授 後藤 春彦
(連携研究者) 理工学術院 助手 田口 太郎
(連携研究者) 教育・総合科学学術院 助手 佐久間康富
研究成果概要
今後のガバメントからガバナンスへの移行にともない、地域住民による独自のまちづくりの展開が想定される。しかし、その際に必要不可欠なことは地域住民による地域の原風景をふまえた上での将来像の共有である。これを通して新たなまちづくりの担い手が誕生し、地域の文脈をふまえた「懐かしい未来」とも表現される将来像が描かれ、独自性のあるまちづくりが達成されることが期待される。そこで、本研究では開発した「まちづくり・オーラル・ヒストリー」を実際のまちづくりへと活用していくための実証研究を行った。
「まちづくりオーラル・ヒストリー」とは、まちづくりにおいて「役に立つ過去」を活かした「懐かしい未来」の姿を描くことを目的とする、以下の一連のプロセスと成果と定義する。
(1)[記憶の採集]市民一人ひとりの語り手の記憶から、対話を介して人生史の一端をひも解く。
(2)[口述史記録の編集]採集された記憶をテキストとして記録するとともに、史料価値をもつ口述史として編集する。
(3)[コミュニティ史の編纂]いくつもの口述史を積層させることによりコミュニティ史として編纂し、さまざまなメディアを通じて公開する。
(4)[コミュニティの将来像の構築]地域社会がまちづくりの文脈としてコミュニティ史を共有するとともに、現代的解釈を与え、そこから地域遺伝子を抽出することにより、まちづくりの青写真・将来像を導く。
 以上のプロセスを経ることにより、「懐かしい未来」とも言える将来像を描くことを目指して徳島県由岐町において活用を含めた一連の実証研究を行った。
また、収集した口述史記録を蓄積するデータベース「まちづくり・オーラル・ヒストリー・アーカイブ(MohA)」を開発し、それを元に小学校での総合的学習プログラムや、地域情報誌の発行を行った。