表題番号:2004A-136 日付:2005/04/21
研究課題回収率向上対策におけるコスト最小化モデルの構築
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 教授 大野 高裕
研究成果概要
 循環型社会の実現は現代社会の重要な課題のひとつである.その実現には循環型生産システムの構築が必要であるが,このシステムが円滑に機能するためには消費者の資源回収行動,再資源化商品の使用と循環型生産システムの経済性が不可欠である.本研究では比較的回収システムが整いつつある飲料容器(アルミ缶)を対象として取り上げて循環型生産システムの一つのモデルを構築した。
具体的には、まず第1モデルとして使用済みアルミ缶の購入について入札と相対取引を取り上げ、入札で一定量を確保した上で一定期間(1年間)の相対取引の最適購入量を決定するためのモデルを構築し、3つのコスト要因のうち、操業停止状態を起こさない状況を考え、原料購入コストおよび在庫コストの総和を最小化する相対取引の最適購入量決定モデルを作成した。その結果、総コストを最小化する相対取引量の算出が可能となった。また単位あたりの在庫保管コストが在庫量に及ぼす影響を明らかにすることもできた。
次に第2モデルとしてシステム分析では専門家に対する思考プロセスの分析結果から、飲料アルミ缶から処理された再生アルミの用途決定プロセス設計のために、TRIZとAHPを組み合わせた方法論を開発した。ここには評価要因の中にコスト分析を組み込み、採算性を確保した上での市場の確立を可能としている。その結果、使用済みアルミ缶からは触媒原料用として有効な用途およびこれに必要な特性の抽出が行うことができた。