表題番号:2004A-119 日付:2005/03/13
研究課題日本経済の内外均衡調整と経済政策の効果に関する研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 商学学術院 教授 横山 将義
研究成果概要
  この研究の目的は、日本経済が国内均衡(完全雇用および物価の安定)ならびに対外均衡(国際収支の均衡)を同時に実現するために、いかなる経済政策を発動することが必要かを究明することにある。長期にわたってデフレ不況に見舞われる日本経済にとって、いかにしてデフレ経済から脱却するかが直面する政策課題であるといえる。
 研究期間中は、オープン経済の視点から日本経済をとらえ、経済政策の効果および有効性を検証することに焦点を当てた研究を行った。とりわけ、国際的な相互依存という枠組みの中で、経済政策がどのような効果を発揮し、また、どの程度有効であるかという問題に加えて、オープン経済の視点から発動される経済政策が、国内の地域経済に対していかなる影響を与えるかについても研究を行った。
 研究成果のうち、マクロ経済政策に関しては、横山(2004)において、財政政策および金融政策の国際的波及効果を考察した。そこでは、国際的な相互依存を前提にした2国モデルのもとで、財政・金融政策の効果を分析するとともに、期待インフレ率の上昇の効果を分析し、とりわけ、日本経済が直面する「流動性のわな」の状況下では、インフレ期待の上昇がデフレ脱却に有効となりうることを明らかにした。
 次に、貿易政策についても考察を行い、国際政策協調という観点から自由貿易協定締結の効果を取り上げ、地域経済統合の実現が自由貿易協定参加国に利益をもたらしうることを明らかにした。これについては、嶋村・横山(2005、近刊)を参照されたい。
 さらに、経済政策が地域経済にいかなる影響を及ぼすかを分析し、国内の各地域の経済構造に応じて政策効果に相違が生じることを明らかにした。これについては、横山(2006予定)を参照されたい。