表題番号:2004A-062
日付:2005/11/16
研究課題地方教育行政諸機関の外部評価とアカウンタビリティ遂行過程に関する日英比較研究
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | 文学学術院 | 助教授 | 沖 清豪 |
- 研究成果概要
- 本研究はイギリスの近年における教育行政改革の一環としてのLEA(Local Education Authorities, 地方教育当局)の外部評価制度の検討と、それに基づく実態調査を目指したものである。本外部評価制度は1996年に試行的に開始され、教育水準局(OFSTED)と会計検査院との連携に基づいて、中央行政機関が地方教育行政機関に対して実施しているものとして極めて独自性の強いものである。公立学校の教育水準、生徒・保護者との関係といった教育内容面だけでなく、公立学校支援の管理運営の効率化なども評価の対象とされてきた。現在、LEAは戦略目標を設定し、目標を交渉し、必要に応じて財源を分配し、学校自身に教育経営を実際に委ねつつ支援し調停を行うという役割を適切に担っているかどうかを検証する必要に迫られている。
本外部評価では、1998年学校水準・枠組法第6条の規定に基づき、2002年までの教育水準向上策の作成を含む教育開発計画(EDP)の作成が求められており、第1回目のLEA外部評価はその達成度に関する自己評価等を使用して実施されたものである。なお第1回目の評価では18箇所のLEAが不十分との評価を受け、さらに5箇所では2回目の評価査察でも改善を認められていない。地方行政改革の動向の中で、こうした厳しい評価を受けたLEAの動向が注目される。
2002年には2007年までの政策の基礎となる新教育開発計画ないし地方教育戦略(LES)の策定が求められ、また2006年4月までに教育統合計画(SEP)への統合も目指されている。第2回目のLEA外部評価はこうした立案された計画の達成状況や計画に示されたLEA固有の状況・視点に基づいて実施されることになっている。
今回の調査訪問等では第2回目の評価に関する部分的な情報収集に留まったが、今後の学会報告などを通じてLEA間の評価の違いが生じている原因について継続的に究明していくこととしたい。