表題番号:2004A-056 日付:2005/03/24
研究課題藩世界の意識と権威-九州地方を中心に-
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 文学学術院 教授 深谷 克巳
(連携研究者) 文学部 教授 紙屋 敦之
(連携研究者) 文学部 助教授 久保健一郎
(連携研究者) 社会科学部 助教授 島 善高
研究成果概要
タイトル「藩世界の意識と権威―九州地方を中心に―」
 
 昨年度まで「藩世界の意識と権威」という課題を西日本地域、特に中国・四国地方を中心として考えてきたが、本年度は、その成果を踏まえ、九州地方に重点を置いて課題を追及した。その研究成果は、以下のようにまとめることができよう。なお、単年度ではとても九州地方全体を対象とする形で研究をまとめることは出来ないので、課題研究の中間報告的な性格が強いことをお断りしておく。
 2004年8月に、福岡県の福岡市博物館・福岡県立図書館・福岡市総合図書館・秋月郷土館で調査し、コピーや撮影により史料収集を行った。調査・収集した史料は、福岡藩黒田家およびその支藩である秋月藩黒田家にかかわるもので、大名相互の書簡、幕府から大名に宛てた法令、藩から領内村々に出した法令など、大名家文書、藩庁文書および、領内の町人・百姓が所有した蔵書類などで、多角的に課題を捉えるよう努力した。また、九州地方と他地域との比較研究の観点から、岡山県の岡山大学附属図書館・林原美術館。岡山市立中央図書館の調査も行い、岡山藩池田家の藩庁文書・地方文書を必要に応じて写真撮影により収集した。
 以上の調査に基づき、海禁体制との関連で異国船警備のあり方、日光社参をめぐる幕藩の対応や藩の負担、大名の本・分家関係や相続の経緯、在地秩序の内容とその形成、地域における政治思想・政治意識の形成など、研究テーマにかかわる課題を考察し、近世社会における「藩」というものに「意識」「権威」をキーワードにして迫った。これら研究成果の一端は、「研究成果」の諸論文に示した。