表題番号:2004A-018 日付:2006/10/24
研究課題産業連関分析と混合型LCAのための効率的算法の開発とその応用
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 政治経済学術院 助教授 近藤 康之
研究成果概要
産業連関表はLCAにおいて広く応用されておりEIO-LCAとも呼ばれているが,そこで用いられる数理モデルは伝統的な産業連関モデルとは異なるものであることが多い。すなわち,Joshi (2000, Journal of Industrial Ecology, vol. 2, no. 2-3) による分類に従えば,「評価対象製品を仮想的新製品と見なすモデル(モデル1)」の方が,伝統的な産業連関モデルに対応する「既存産業部門を分割する(産業部門分類を詳細化する)モデル(モデル2)」よりも広く用いられている。モデル1の方がよく用いられる原因は,モデル2における行部門の分割に必要なデータの入手が困難なことが多い点にもある。しかしながら,モデル1は製品の普及に起因する間接効果を不適切に無視してしまうという欠点を持つ。すなわち,「川上」への波及効果は補足できるものの,「川下」への波及効果は補足できない。ここで補足されない間接効果は,汎用機器・素材,標準化された部品などについては大きいと考えられる。本研究においては,シミュレーションによってこの種の間接効果が,総需要に占める中間需要の割合の大きい製品について無視し得ないほどの大きさであることを示した。「川下」への効果は評価対象製品の普及率と密接な関連があるので,普及率の変化に伴って原単位も変化し得ることを考慮し,これに対応した原単位を推計するための簡便法を提案した。