表題番号:2004A-017 日付:2006/11/16
研究課題ドレフュス事件とサンボリスムの詩人たち-『ディヴァガシオン』の外部を読む
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 政治経済学術院 助教授 岡山 茂
研究成果概要
サンボリストに関しては、70名ほどの有名無名のサンボリストたちをリストアップし、彼らの群像と一人ずつの肖像を描いてみようという試みを始めると、私は科学研究費の申請のさいには記している。特定課題研究費の枠組みでも、その試みの一環としての作業を行なっている。具体的には、サンボリストのそれぞれについて、彼らが受けた中等教育、高等教育、彼らに見られる宗教的傾向、彼らによる政治的主張(とりわけドレフュス事件、政教分離、第1次世界大戦のときの主張)を調べ、そこにどのような相関があるかを見極めたいと考えている。今年度は、ドレフュス事件のときの彼らの言動を調べることがおもな目的であった。すでに研究のあるサンボリストの場合はそれらをチェックし、ほとんど知られていないサンボリストについては、どのように調べるかを考察するところから始めた。フランス国立図書館で探索をおこない、資料の収集を行なった。得られたデータの分析は、全体がある程度まで見えてきてからでないとできないため、システマティックにすべてを調べ上げる作業をこれからも継続したい。それには数年かかる見通しである。他方、フランスの大学改革におけるアレゼールの運動についても、私はこの特定課題の枠組みで調べている。アレゼールへの私の大学人としての関心を、サンボリストたちについての私の研究と安易に結びつけることはできないけれども、19世紀末にフランスにおいて復活した「大学」がサンボリストにも深い影響を与えている点、そしてその頃に生まれる「知識人」にサンボリストが多く含まれていた点、最後に、知識人の伝統への省察がアレゼールの大学人の運動につながっている点において、無関係ではないと私は考えている。これらの点についてもこれから明らかにしてゆくつもりである。