表題番号:2003C-014 日付:2005/03/25
研究課題ITによる教育の変革と異文化交流時代の新しい語学教育支援システムの構築
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 教授 成田 誠之助
(連携研究者) 理工学術院 助手 尹 明
(連携研究者) 理工学術院 教授 Wolfgang Schlecht
(連携研究者) 大韓民国 鮮文大学 副教授 安 容柱
研究成果概要
本特定課題研究においては、従来のIT以前の教育の枠組みを超えた教育環境・教育方法をIT技術により実現し,その効果を分析することを目的とした.教育の対象は,異文化コミュニケーションの手段としての語学教育とし、具体的には、外国人向けの日本語教育を題材として研究活動を行った。
平成16年度前期には外国人の学習者が苦手とされる「自動詞・他動詞」を学習するためのビデオ・オン・デマンドシステムを構築した(http://vivtvideo.narita.elec.waseda.ac.jp)。本システムは早稲田大学日本語研究教育センターの授業で利用されている。平成16年度後期にはそのフィードバックをもとに、マウスでの回答のほか、音声認識を利用したマイクでの回答が可能な学習システムを構築した。これらの教材は、学習者のモチベーションの向上や、教室での対面講義だけでは伝わりにくいコミュニケーションにおける非言語情報の理解などの面で効果が見られた。
一方で、韓国の日本語学習者を対象に遠隔教育実験を行った。ビデオチャットや、音声ファイルをアップロードできる電子掲示板を利用し、韓国の日本語学習者とネイティブの日本人を結びつけ、学習活動を行った。韓国側の学生50名前後、日本側の学生10人前後が参加した。実施方法は、まず、韓国側の学生が作文し、録音したものをWebサイトにアップロードする。次に日本側の学生がそれを採点する。チェックされたものを韓国側の学生が確認、修正し、再度アップロードする。作文の内容は「韓国のお勧めの場所」「日本と韓国の違い」などを設定し、異文化理解の促進を図った。その結果、年度末のアンケートから、韓国の学生の日本に対する親近感の向上が見られ、また、そのほかにも何人かの学習者について発音の矯正が見られるなどの学習効果も見られた。
本プロジェクトの成果については、平成16年度 情報処理教育研究集会やPCカンファレンス2004などの国内シンポジウム、また、国際会議IWLeL2004などで報告した。