表題番号:2003C-009
日付:2005/03/24
研究課題新しい脳下垂体調節因子の単離・同定および生理活性
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | 教育・総合科学学術院 | 教授 | 菊山 榮 |
(連携研究者) | 教育・総合科学学術院 | 教授 | 加藤 尚志 |
(連携研究者) | 教育・総合科学学術院 | 助手 | 岩田 武男 |
(連携研究者) | University of Rouen | 教授 | Hubert Vaudry |
(連携研究者) | 教育・総合科学学術院 | 助手 | 岡田 令子 |
- 研究成果概要
- 我々は先に広島大学グループとの共同研究により、ウシガエル視床下部より4種のRFアミドペプチド群を単離・同定・生理活性の解析を行った(Koda et al., 2000, Endocrinology 143, 411-419; Sawada et al., 2002, J. Endocrinol. 174, 395-402)が、同様な方法でイモリ脳より上記ウシガエルのものに似たアミノ酸配列を有するペプチドを得、主としてプロラクチン、生長ホルモンの放出活性に焦点をあてて生理活性の解析を行った結果両ホルモンの放出を促進するペプチド、生長ホルモンの放出のみを促進するペプチドの存在を確認した。
一方我々はこれまで困難を極めていた両生類甲状腺刺激ホルモンの放射免疫測定法の開発に成功した。それを用いて、これまで知られている神経ペプチド(哺乳類由来のものも含む)の甲状腺刺激ホルモン放出促進・抑制効果についてのスクリーニングを行った。その結果、LHRHとTRHには幼生下垂体に対しては効果がなく、成体下垂体には弱い放出活性を示すこと、CRF(ヒツジ由来)には幼生、成体下垂体に対して強い放出活性を示すことがわかった。そこでウシガエルCRFをコードするcDNAのクローニングを行い、それから推定されるウシガエルCRFのアミノ酸配列にしたがってペプチドを合成した。それを用いて活性を測定したところ、ヒツジ由来のものと同等の活性をウシガエルCRFに認めた。またCRFによる甲状腺刺激ホルモン放出活性は甲状腺ホルモンによって抑制を受けることも確認された。なお、CRF以外のペプチドでは、アミノ酸配列がCRFに似ているsauvagineに放出活性がみとめられた。更にsomatostatinには抑制作用があること、カエルで生長ホルモン放出活性があることが知られているPACAPに甲状腺刺激ホルモン放出活性があることがわかった。これらの結果から甲状腺刺激ホルモンは多種類のペプチドにより調節されており、はじめに哺乳動物で名付けられたペプチドの名称が必ずしもあてはまらないことが明らかになった。
一方我々はイモリ視床下部のプロラクチン受容体発現部位の解析中に、下垂体後葉ホルモン含有神経にプロラクチン受容体が発現していることを発見した。現在プロラクチンの後葉ホルモン放出調節の可能性を検討している。