表題番号:2003B-029 日付:2005/02/27
研究課題既成市街地における大学と地域の連携による都市再生に関する研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 教授 後藤 春彦
(連携研究者) 理工学術院 助手 李 彰浩
研究成果概要
 大学は都市によって育成され、また都市を熟成させる機能を持ち、両者は不可分の関係にあると考えられるが、日本において大学と周辺地域の関係は希薄化しつつあり、「学生街」という表現自体も過去のものとなってしまっている。
 しかし昨今では、大学を核とするまちづくりが地域再生の課題のひとつに掲げられるようになり、一般市民にも開かれた大学施設の学外展開や、各種都市機能とのコラボレーションなど、大学キャンパスと周辺地域の一体的整備が求められる新しい局面が生まれている。
 本研究は、このような研究の要請に対して、衰退した「学生街」を大学の教育・研究・社会貢献機能と学生・教職員の生活支援機能が集積した「大学まち」として再生するための課題を解明することを目的とした。
 具体的には、米国における先進事例として挙げられる東部のアイビーリーグの8大学およびMIT、ニューヨーク大学を対象とし、現地調査を行うと共にキャンパス計画や周辺地域整備の責任者に対してヒアリング調査を行った。また、ペンシルベニア大学に関しては、「フィラデルフィアにおける大学まち再生(University Community Development in Philadelphia)」をテーマとし、Tom Lussenhop氏(元Director of Real Estate of Pennsylvania University、現President & CEO of Columbus Downtown Development Corporation)を招聘し特別講義を行った。
以上より、大学キャンパスおよびその周辺地域を研究対象として、包括的な「大学まち」という概念を提示した。そして、多角的な視点から詳細に実態を分析・把握することにより、従来、既成のキャンパス内にとどまっていた大学施設整備の対象空間をその周辺地域にまで拡大し、大学と地域社会の連携による「大学まち」としての地域再生の基礎的な指針を導いた。