表題番号:2003B-027
日付:2005/03/28
研究課題対称臨界性原理とその非線形偏微分方程式への応用
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | 理工学術院 | 教授 | 大谷 光春 |
(連携研究者) | 理工学術院 | 教授 | 北田 韶彦 |
(連携研究者) | 理工学術院 | 教授 | 田中 和永 |
(連携研究者) | 高等学院 | 教諭 | 柳谷 晃 |
(連携研究者) | 理工学術院 | 助手 | 石渡 通徳 |
(連携研究者) | 理工学術院 | 助手 | 小林 純 |
(連携研究者) | メディアネットワークセンター | 助手 | 赤木 剛朗 |
- 研究成果概要
- 対称臨界性原理とは、「Banach 空間 X 上で定義された汎関数 J に対し、ある群 G の作用に関して不変な部分空間 X_G 上での J の臨界点が、X 全体での J の臨界点を与える」という原理である。
この原理は、J の汎関数(フレッシェ)微分を、劣微分作用素を含むかなり一般的な多価作用素 A に置き換えても成立することが、本研究により示された。すなわち、
(a) 対称性を表現する群 G の作用が等距離的である、 または
(b) X 及びその双対空間 X^* がともに回帰的かつ狭義凸である,
が成り立てば、「群 G の作用に関して不変な部分空間 X_G 上での A に付随する(生成する)X 上の汎関数 J の臨界点が X での臨界点を与える」ことが示された。
この原理の応用として、ある種の回転対称性を有する非有界領域におけるp-Laplacian を含む変分不等式の解の構成がなされた。
これは、 Palais による 古典的な``Principle of Symmetric Criticalilty'' の拡張を与えているだけではなく、作用素 A が、必ずしも変分構造を有していなくてもよいversion に拡張することが可能( A が G-共変であれば十分)であり、楕円型方程式のみならず、時間発展を伴う発展方程式に対して有用であろうことが期待されていた。
一方、一般の非有界領域では、ソボレフの埋蔵定理にかかわるコンパクト性が欠如しているが、回転対称性を有する関数からなる部分空間においては、これが恢復するために、この部分空間における強非線形発展方程式の可解性がより容易に示される。
この対称性を有する空間で構成された解が、真の解であることが、上記の原理から
導かれるのである。実際、劣微分作用素の差で支配される抽象放物型方程式に対して、この原理を拡張し、ある種の回転対称性を有する非有界領域におけるp-Laplace 作用素と爆発項を含む非線形放物型方程式の解の存在証明にこれを応用した。
今後このより広範な方程式に対して有効な、より一般化された原理の確立とその応用が充分期待される。