表題番号:2003B-011 日付:2005/03/23
研究課題地域社会の変容と学校コミュニティの可能性に関する教育関係論的研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 文学学術院 教授 喜多 明人
(連携研究者) 文学学術院 教授 山西 優二
研究成果概要
 本研究では、子どもの参加を保障する取り組みを行っている自治体と学校に焦点をあてて、「子ども参加」の制度的、実践的な実態とその課題を導くことを目的とした。北海道奈井江町や福島県三春町を訪れたほか、継続的に調査している以下の対象において次のような研究を行った。
 北海道幕別町では、教職員及び児童生徒の説明員としての出席を認めた「学校運営協議会」を実施している。本研究では教育委員会でこの実施状況について情報提供を受け、協議した。また、町立札内北小学校における調査を行った。これまでも継続的に調査対象としてきた本校においては、教科外活動における子どもの参加にとりわけ意義と成果が見出されてきた。そうした本校は、そのようにして参加の力を徐々につけてきたと見られる子どもが、いかに普段の授業に参加できるのかという課題を抱えている。本研究では、教育方法学専攻の研究者を加えて学校に赴き、主に授業中の子どもたちと教師との関わりの様子を観察し、放課後には教職員との意見交流・協議を行った。
 埼玉県鶴ヶ島市の「学校協議会」は、学校評議員制度のように学校外の保護者や地域住民の意見を学校づくりに反映させるとともに、学校内の子どもや教職員の意見も反映させようとするものである。現在、市内のすべての公立小・中学校13校に学校協議会が設置され、実施運用されている。本研究では、学校協議会について実際の協議会を継続的に傍聴してきた。また、2003年8月~10月にかけては、全ての学校協議会の協議委員156名(今回は子ども委員を除く)に対して、アンケート形式で「学校協議会と子ども参加に関する意識・実態調査」を行った。これを分析することにより、協議会への「子ども参加」によって学校協議会の活動を活性化させるとともに、具体的な学校づくりに結実したという効果があることが明らかになった。この調査の結果を中間報告として協議委員、小・中学校校長、教育委員会関係者に対して提供し、協議した。