表題番号:2003B-003 日付:2005/03/29
研究課題経済におけるリスク環境の協力関係への影響
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 政治経済学術院 教授 船木 由喜彦
(連携研究者) 政治経済学術院 助教授 荒木一法
研究成果概要
 本研究は、「経済におけるリスク環境の協力関係への影響」と題し、集団的な利益(パレート効率性)と個人的な利益(個人合理性)の乖離のある状況をゲーム化した経済学実験において、リスク環境の変化が及ぼす影響を分析した研究である。
 本研究では、従来より研究を続けている協力の形成に関する経済学実験において、特に被験者への報酬の与え方(各ラウンドの平均獲得額を支払うか、各ラウンドの結果をランダムに選びその額を支払うか)が協力関係の形成および維持にどのように影響するかを研究している。さらに、本研究ではこの問題に理論的研究を加え、進化ゲーム理論、学習理論、協力ゲーム理論などの理論を用いて分析・考察し、以下のような具体的な成果を得た。
(1)以前の研究で作成された実験用プログラムを精緻化改良し、被験者の提案結果を保留できるプログラムを作成し、実験を実施し分析した。その際、リスク環境の及ぼす影響も検討した。
(2)2005年1月に完成した早稲田大学政治経済実験室(3号館4階)においても再実験を実施した。
(3)以上の分析結果から進化ゲーム、協力ゲームにおける新たな知見を獲得し、研究代表者と研究分担者は新たな論文を作成した。研究代表者は論文[1]と論文[4]の一部にその分析結果を用いているが、主たる成果は、論文[5]として投稿準備中である。研究分担者はこの研究の分析結果を,労働経済学と金融経済学に応用して論文[2]、論文[3]を作成し公表した。
(4)本研究に関連する外部研究者によるセミナーを多数開催した。(2年間で約30回)
(5)本研究の成果に関連して、協力ゲームの国際コンファレンスを主催した。(2005年1月22日報告者10名)