表題番号:2003A-982
日付:2006/02/21
研究課題連結財務諸表情報の株式リターンへの長期的な説明力に関する調査研究
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | 大学院ファイナンス研究科開設準備室 | 教授 | 薄井 彰 |
- 研究成果概要
- 本研究の目的は、利益,配当や資本などの長期時系列データに基づいて,どの程度まで株式リターンを説明していたかを統計的に検証することである。サンプル企業の選択基準は、(ⅰ) 2001年8月時点で東京証券取引所(1、2部、マザーズ)、大阪証券取引所、名古屋証券取引所、札幌証券取引所、京都証券取引所、福岡証券取引所、ナスダック・ジャパンの上場、あるいは、ジャスダックに店頭公開している、(ⅱ)連結財務諸表を公表、(ⅲ)利益、配当、簿価(株主資本)などの会計データが日本経済新聞社「NEEDS-CD ROM 日経連結財務データ」(2001年8月)で利用可能、(ⅳ)株価が東洋経済新報社「株価CD-ROM2002」で利用可能、(ⅴ)銀行、証券、保険業を除く一般事業会社、である。最終的にこれらの基準をみたす2、729社が抽出された。分析期間は1979年から1999年の20年間である 。サンプル数は、1984年以前では62社(1979年)から100社(1984年)、それ以降では、676社(1985年)から1570社(1999年)である。実証結果から、連結会計情報の有効性は、個別会計情報よりも若干上回るものの、平均して高いとはいえないことが判明した。調査期間では、日本企業の多くが連結グループ経営というよりも親会社中心であったことは否めない。実際、連結企業グループの規模は親会社に比べれば、それほど大きくない。売上高でみれば、連結グループの範囲は、親会社のほぼ1.2倍である。この水準はほとんど変わっていない。2000年3月期以降の新会計基準の導入が連結会計情報の有効性に及ぼす影響については、今後の課題とする。