表題番号:2003A-959 日付:2004/03/18
研究課題地方行政の日韓比較研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 大学院公共経営研究科 助教授 山田 治徳
研究成果概要
本研究は、日本と韓国の自治体における行政改革の様相について比較分析を行うものである。
1980年代以降、各国ではNPM理論に基づいた経済的観点に基づいた公共部門の改革が進められてきている。わが国自治体でも90年代半ば以降、自立的な自治体を目指す中で独自の試みとして、事務事業評価など経済的観点に基づく改革の導入が進んでいる。このため、国では改革に抵抗する「抵抗勢力」が幅を利かせる一方で、自治体では「改革派首長」が奮闘するという構図が作られつつある。これに対し、本研究では、「行革先進自治体」として全国的に著名な自治体においてさえ、次々にお粗末な行政運営実態や住民を無視した不祥事が頻発している現実を明らかにし、その背景にある、わが国自治体における経済的観点に基づく改革導入と汚職や不祥事という旧来型の問題に対する対応振りにおける二面性の存在を明らかにする。そして韓国の自治体の改革事例として、ソウル特別市の取組みを紹介する。ソウル市では行政の効率化のためには清廉な行政の実現が不可欠であるとして、積極的な住民の参画を基本とした行政改革を進めている。日本と韓国ではともに行政の効率化が課題となりながら、そのアプローチについてはきわめて対照的である。本研究では、その背景にある問題認識の差異を明らかにし、そして韓国自治体における改革の動向を通じて、わが国自治体の改革に欠ける視点を探り出す。