表題番号:2003A-955 日付:2005/02/28
研究課題自己組織化生産スケジューリングシステムの基盤技術の研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 大学院情報生産システム研究科 助教授 藤村 茂
研究成果概要
 本研究では、マスタ情報やスケジューリング手法の記述を行わず、ユーザが行うスケジューリング時の操作情報から
スケジューリング手法やスケジュール対象の作業(スケジューリングされる資源(設備等)を利用して行う処理の単位)
間の関連を抽出し、スケジューリングロジックを自己組織化していく生産スケジューリングシステムを開発することを
目的としている。本目的は、システムの初期導入時およびメンテナンス時に多大なシステム開発工数が割かれていると
いう現状の問題点に起因している。
 本年度は,本研究の初期段階として,自己組織化していく機能要件をスケジューリングパターンとして抽出して,
その実現手法を検討することを目的として研究を行ってきた。従来,スケジューリングシステムは複雑なモデルのもと
で扱われ,適用する対象プロセスの特性に応じて固有のモデルが適用されていた。しかし,自己組織化を行うモデルと
しては,このようなモデルは不適切であり単純なモデルが必要となる。そこで,ゴールドラットが提唱しているTOC
(Theory of Constraints)のモデルを基本として,実プロセスでの応用を念頭に置き,いくつかの実プロセスへのモ
デルの適用を行い,下記のようなモデルの拡張の有効性を確認した。
・プロダクトミックスに対応すべく制約資源の同定機能
・スケジューリング状況に従ったタイムバッファの動的決定方式
・階層的モデルによるエージェントモデル
 現在これらの拡張機能について検討を行っておりアルゴリズムの実装を行っている。また,これらのアルゴリズムは,
現在,市販のスケジューリングシステムのスケジューリングエンジンとして実装することを計画しており,来年度は,
実プロセスでのフィールドテストを行い,その有効性を論文にまとめる予定である。