表題番号:2003A-953 日付:2004/03/27
研究課題状態変動を伴うプラントを対象とした異常検知のモデリング手法の開発
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 大学院情報生産システム研究科 助教授 立野 繁之
研究成果概要
 本研究では、負荷変動を伴う化学プラントにおける異常検出の手法であるデータベースモデリング法の改良を行った。従来のデータベースモデリング法は予測精度が非常に高いという利点を備えているが、規模の大きなプラントを異常の検出・診断の対象とした場合には予測結果の探索に時間を要するためにオンラインでの予測が難しいといった問題点があった。
 大規模系を対象としたデータベースモデリング法を実用化するためにはまずデータベースレコード探索を高速することが不可欠である。そのためには、ハードウェアの強化とソフトウェアの効率化の両面からのアプローチが考えられるが、本研究では比較的実装が容易な前者を採用した。
 データベースの検索は膨大な数の整数演算の繰り返しであるので、ハードウェアの処理能力を向上させれば探索速度はリニアに向上することが期待できる。そこで、データベースを複数に分割し、ネットワークで接続された高速なHDと大容量のメモリを搭載した複数のパソコン上でそれぞれのデータベースの検索い、個々の探索結果を基に全体の予測値を求める手法を開発した。この手法によって接続したパソコンの台数分だけ探索速度を高速化することが可能である。実際に4台のパソコンで分割したデータベースをオンメモリで実装し、ネットワークを介してサーバにデータを集約するシステムで実験を行ったところ、パソコン単体の探索速度の3~3.5倍程度まで速度向上が可能であった。
 本手法を用いることにより、対象の規模に合わせて探索に使用するパソコンの台数を増やせば、容易にオンライン異常検知が可能なデータベースモデリング法を構築することが可能である。
 今後は、探索アルゴリズムの改良化によって探索に使用するパソコンの台数を削減する方法を検討する。