表題番号:2003A-944 日付:2004/03/26
研究課題心理量・生理量・物理量の相互関係による感性計測システムの開発と商品企画への応用
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 大学院アジア太平洋研究科 教授 長沢 伸也
研究成果概要
平成15年度に行った研究によって得られた新たな知見等の成果は以下の通りである。
1.人間の感性情報処理特性を心理量・生理量・物理量の相互関係により解明するため、視線の動きを取り上げて研究室実験を行った結果を解析し、これから興味度を推定することが妥当であるか検討した。また、生理量である視線の動きとそれに影響する対象の物理量、心理量である興味度とそれをもたらす対象の物理量との対応関係から視線の動きや興味をもたらす対象の物理特性をある程度明らかにした。
2.心理量の計測手法(人の感性による計量・評価データの計測・解析手法)として重要な統計的官能評価手法について、「シェッフェの一対比較法」で一対比較が不完全な場合にも適用できるように改良した。さらに、一対比較の回数が最少(試料の個数と同数回)で適用できる「サイクリック一対比較法」を提案した。
3. 人間にとって「使いやすい」、「心地よい」機械や製品の企画・設計のためのマーケティング情報システムのフレームを構築するため、商品企画・設計のための感性情報処理システムの雛型としての「商品企画七つ道具」について、男性用化粧品、ウェブサイト、電気自動車、ノンフロン冷蔵庫、ランチジャー、空気清浄機等さまざまな商品を対象に事例研究を行った。
4.複雑化・多様化する市場環境における新商品・新事業開発のマネジメントのあり方について、偶然や運任せではなく必然的にヒットする新商品や成功する新規事業を科学的に開発するための法則や方法論を研究するとともに、マネジメントのあり方について、キリン「生茶」・明治製菓「フラン」といったメガヒット商品の商品戦略、自動車企業の製品開発、ルイ・ヴィトンやクリスチャン・ディオールなど高級ブランドのデザイン・マネジメント、環境対応商品や廃棄物ビジネスを含む環境ビジネス等を取り上げて検討した。
5.最近注目されている感性工学について、その意味やビジネスとの関わりについて総括した。