表題番号:2003A-933 日付:2004/03/27
研究課題高強度・間欠的トレーニングによる骨格筋脂肪酸酸化機能の向上に関する研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) スポーツ科学部 教授 樋口 満
(連携研究者) スポーツ科学部 日本学術振興会特別研究員(PD) 寺田 新
研究成果概要
持久的トレーニングにより,骨格筋の脂肪酸酸化酵素活性が上昇することが良く知られている.しかしながら,高強度運動トレーニングが骨格筋の脂肪酸酸化酵素活性に及ぼす影響はこれまでほとんど明らかとされていない.そこで,本研究では,短時間のうちに行われる高強度・間欠的水泳運動トレーニングが骨格筋脂肪酸酸化酵素活性に及ぼす影響について,持久的トレーニングによる効果と比較検討した.4~5週齢のSD系雄ラットを1)高強度・間欠的トレーニング(HIT)群,2)持久的トレーニング(LIT)群,3)コントロール群(CON)の3群に無作為に分けた.HIT群には,体重の14~16%に相当する錘を装着させながら,20秒間の水泳運動を10秒間の休憩を挟みながら14セット行わせた.LIT群には,無負荷で3時間の水泳運動を45分間の休憩を挟み2セット行わせた.トレーニングは1日1回,10日間行わせた.最終トレーニングの翌日に,麻酔下において,心臓および内臓脂肪を摘出し,その重量を測定した.また,前肢骨格筋Tricepsを摘出し,骨格筋の脂肪酸β酸化において重要な役割を果たしていると考えられている 3-β-hydroxyacyl-CoA dehydrogenase(HAD)活性の測定に用いた.その結果,HIT群の心臓重量は,LITおよびCON群に比べて有意に高い値を示した.内臓脂肪量は,LIT群において,CON群に比べて有意に低い値を示した.前肢骨格筋TricepsにおけるHAD活性は,LITおよびHIT群で,CON群と比較して有意に高い値を示した.LIT群とHIT群のHAD活性には有意な差は認められなかった.以上の結果から,総運動時間が6時間の持久的トレーニングと同程度に,高強度・間欠的トレーニング(総運動時間:280秒)でも骨格筋の脂肪酸酸化酵素活性が上昇することが明らかとなった.