表題番号:2003A-932 日付:2012/04/03
研究課題若年健常者におけるウエスト/身長比と冠危険因子との関連
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) スポーツ科学部 教授 坂本 静男
研究成果概要
[背景]生活習慣病が多方面から問題視されており、特に内臓脂肪型肥満の早期発見と早期治療が重要視されている。それゆえ定期健康診断や人間ドックの際に、簡便で有用な内臓脂肪型肥満の判定指標が必要となる。中高年者の有用指標としては、ウエストやウエスト/身長比が推奨されている。[目的]今回の研究目的は、若年女性におけるウエストやウエスト/身長比の内臓脂肪型肥満の判定指標としての有用性、そしてこの指標と冠危険因子との関連性について、検討することであった。[対象と方法]対象は某健康センターの健康度チェックを受けた21~30歳の女性42名であった。対象は空腹時に採血、体組成測定、安静時心電図検査、脈波伝導速度、そして保健師より問診を受けた。さらに循環器専門医の診察を受け、その後運動負荷試験(運動負荷心電図検査)を受けた。最後に体力測定を受け、後日運動処方が作成された。ウエスト又はウエスト/身長比と体脂肪率との相関関係を検討した。また総コレステロール、HDL-コレステロール、中性脂肪、血糖、尿酸、収縮期血圧、拡張期血圧および脈波伝導速度などの冠危険因子と、ウエスト又はウエスト/身長比との関連を検討した。[結果]インピーダンス法による体脂肪率とウエストとの相関係数はr=0.77、また体脂肪率とウエスト/身長比との相関係数はr=0.75と、高い正相関を認めた。各種冠危険因子との関連では、HDL-コレステロールのみがウエストとの相関係数がr=-0.49、ウエスト/身長比との相関係数がr=-0.45と高い負相関を認めた。[考察]肥満ないしは内臓脂肪型肥満を判定する上でウエスト又はウエスト/身長比は、若年健常女性においても有用と考えられた。冠危険因子ではHDL-コレステロール異常の有無の推測でウエストとウエスト/身長比は有用だが他の冠危険因子で有用とはいえず、若年健常女性でのウエストやウエスト/身長比の使用には制限があると推測された。