表題番号:2003A-917 日付:2004/03/22
研究課題ピア・ツー・ピア技術を活用したラーニングコミュニティの研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 人間科学部 教授 金 群
研究成果概要
 高度情報ネットワーク化社会において、知識の更新のペースがますます速めており、従来の学校、大学での教育では対応できなくなりつつある。そのため、生涯を通じた多様な学習者を対象とする教育/学習システムが求められている。

 本研究は、ピア・ツー・ピア(P2P)技術を利用して、多様な学習者に対して広く開かれた新たなコミュニティ型eーラーニングシステムを提案することを目的とする。本年度では、学習者個々のニーズに柔軟に対応できるパーソン・ツー・パーソンeーラーニングモデルを新たに考案し、P2Pネットワークの特徴を生かした教授/学習支援環境のあり方について検討するとともに、従来のクライアント/サーバモデルに基づいたeーラーニングモデルとの比較を行った。また、eーラーニングに適したP2P技術とは何かについて、サーベイを行い、ラーニングコミュニティの特徴を発揮でき、従来のeーラーニングシステムにおける学習者個性の喪失や孤独感、学習ペースがつかめにくいなどの問題を改善し、eーラーニングに適したP2P仕組みの提案を行った。それをもとに、ピア・ツー・ピア型ラーニングコミュニティにおけるコミュニケーションやコラボレーションを支援し、学習者個人のニーズや能力に応じた学習内容や進み方を設定可能な支援環境とグループウェアツールを設計し、試作を行った。さらに、ピア・ツー・ピア型ラーニングコミュニティを利用するためのクライアントシステムとGUIインターフェースをも試作し、初歩的な実験評価を行い、これからの改良・改善策をまとめた。

 従来の多くのeーラーニングシステムは、人間的な部分が抜け落ちた、単なる情報や知識の伝達でしかない。本研究は、P2P技術の利点とラーニングコミュニティの特徴を発揮し、融合することによって、ピア・ツー・ピアeーラーニングに適した学習モデルと仕組みづくりを探求し、従来のeーラーニングにおける問題点を解決し、改善するものである。