表題番号:2003A-862 日付:2006/10/18
研究課題コーポレート・ガバナンス改革と経営者インセンティブ
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 商学部 専任講師 久保 克行
研究成果概要
この研究では日本における経営者のインセンティブとコーポレート・ガバナンス改革の関係を分析することが目的である。ここでは、経営者が株主の利害を最大化するようなインセンティブを持っているのか、また、どのような経営者によってコーポレート・ガバナンス改革が行われているのか、またコーポレート・ガバナンスは実際にどの程度おこなわれるのかということが分析のモチベーションである。平成15年度には、これらの分析のためのデータ収集、整理、基本統計量の確認および簡単な推計を行った。まず、上場企業を中心に、さまざまな企業のコーポレート・ガバナンスに関する情報を収集することを中心に行った。特に、ここでは経営者のインセンティブに関する情報を収集した。経営者のインセンティブについては電子的なデータベースでは入手不可能なものもあるため、過去の有価証券をあたって、必要な情報を収集しデータとして整理を行った。経営者のインセンティブに関するデータとしては、過去の研究と比較してももっとも広範かつ詳細なデータを収集・整理を行った。
 また、実際に経営者のインセンティブを分析するために、企業の業績と役員報酬との関係のデータを整理し、簡単な分析を開始している。具体的には、業績の変化に対しての役員報酬の感応度を計測を始めている。この分析においては金銭的な報酬だけではなく、持ち株、ストック・オプションの価値の変化をもあわせて考えている。ストック・オプションに関してはブラック・ショールズ式を用いて価値を分析した。役員報酬の研究の問題点として、日本においては最高経営責任者の報酬額が公表されていないということが指摘されている。そこで、取締役会の構成およびその他の情報から、最高経営責任者の報酬を推定した。