表題番号:2003A-860 日付:2004/05/21
研究課題企業間提携による組織間学習プロセス フォード・マツダの事例
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 商学部 助教授 谷口 真美
研究成果概要
2003年度、「フォードとの関係で、両社のR&Dプロセスに与えた変化」について、R&D部門のシニアマネジャー、システム開発担当者にヒアリング調査を実施した。両社のエンジニアリング技術の強み(マツダにおける熟練工のノウハウ経験をはじめとするエンジニアリング技術・フォードにおけるプランニング・システム技術)を融合していくプロセス、その困難さ、現行の成果について検討した。
具体的には、以下のような点が、明らかになった。
1)責任分担とプランニング重視
ハイレベルな企画段階で”ワークシェアリング”というプランニングが行われ、プロジェクトの担当領域についてタスク調整、技術的関心のコミットメント、実行可能な計画についてかなりの時間が割かれている。その際、エンジンはどこが責任か、市場適合性はどこが見るのか、シャーシ系、ボディ系、制御系などかなり細かく文書化がされる。合意後、オペレーショナルなレベルでの、ターゲットに基づく設計が開始される。
そこでは、徹底してプランニングに時間をかけ明文化され、両社が持っている専門性、部品サプライヤなどの購買戦略、品質管理の違いなどから方向付けを決めていても環境が変化しその対応に苦慮したり、フォードとマツダの時間的観念や基準の違いから予定通り進まなかったり、すべてを任せられないという問題などが発生している。
2)R&Dに関連した部門の人材交流の活発化
フォードから送られてきた役員は現在12名、そのうちR&Dは6名、部長級では2名である。ただし、マツダ社員にならずに、フォードからR&Dへ派遣された人数は多く、むしろ両社間で共同プロジェクトの責任分担により、互いのセクションで広島、フォードヨーロッパ、北米フォードに駐在し活動している。両社間の開発上の違いを埋め、調整役を果す人材交流が、より頻繁になってきている。

その他、CAD導入による開発期間の短縮化・開発プロセスの変化などにかんしても聞き取りを行った。