表題番号:2003A-844 日付:2004/04/01
研究課題ドイツにおける学力低下問題(「PISAショック」)と教育改革
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 教育学部 助教授 長島 啓記
研究成果概要
ドイツでは、2001年12月に公表されたOECD生徒の学習到達度調査(PISA)の結果、2002年6月に公表された国内補充調査(PISA-E)の結果が振るわず、いわゆる「PISAショック」により、学力の向上が教育の大きな課題となった。各州文部大臣会議は初等教育学校(基礎学校)の教育を改善するための措置、教育的に不利な条件を負う子どもたち、特に移民家庭の子どもたちを効果的に支援するための措置など、各州が優先的に取り組む7つの分野について合意し、各州で取り組みが進められている。また、ドイツの教育の現状と発展に関する全体像を示すために、年次報告を作成・公表することとされ、最初の年次報告が2003年10月に公表された。報告書の作成は、各州文部大臣会議からドイツ国際教育研究所の研究者を中心とするコンソーシアムに委託されたが、作成の期間が限られていたこともあり、普通教育制度が中心となっている。年次報告は、A:教育の諸条件の現状と分析、B:教育のプロセスの現状と分析、C:教育の効果の現状と分析、D:教育の質の維持・発展のために各州が講じている諸措置の現状と分析という4つの部分と付録から構成されている。Dの各州が講じている諸措置は、PISAの結果公表後に各州文部大臣会議が合意した7つの分野に関するものである。さらに、改革の進展が顕著な教育スタンダードについては、前期中等段階について、各州文部大臣会議により、これまでの「ドイツ語、数学、第一外国語における中等教育修了証のためのスタンダード」(1995年5月)に代えて、2003年12月、「中等教育修了証のためのドイツ語における教育スタンダード」「中等教育修了証のための数学における教育スタンダード」「中等教育修了証のための第一外国語(英語/フランス語)における教育スタンダード」が決議された。各州はこれに基づき、教育課程の基準の作成、学校での教育活動、教員養成や研修を行うことになる。