表題番号:2003A-810 日付:2004/03/25
研究課題消費者被害の実態と被害救済の実効性確保に関する研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 法学部 教授 後藤 巻則
研究成果概要
 「消費者被害の実態と消費者救済の実効性確保」というテーマで研究を続けている。以下、このテーマに関し、私が本年度中に公表した論文を掲げつつ、研究状況の進展を報告する。
 国民生活審議会消費者政策部会は、2003年5月に、「21世紀型の消費者政策の在り方について」と題する報告書を公表したが、この報告書を素材としつつ、今日の消費者政策・消費者法に関する課題の全体像を浮き彫りにしようとした作業が、後藤巻則「今日の消費者問題と消費者政策の課題」(法律時報75巻10号)である。この問題意識を踏まえ、消費者問題に従事する各界の専門家と対談し、今日の消費者法の問題状況を検討したのが、後藤巻則他「座談会・消費者法の今日的課題」(法律時報75巻10号)である。また、後藤巻則「21世紀型消費者政策の展開と消費者関連法の見直し」(国民生活研究43巻2号、2003年)で、消費者の安全確保と消費者契約の適正化に分けて、各種の消費者関連法に関する今日的課題を論じた。これらの作業に従事しつつ収集した諸文献を素材として、2003年度の消費者法についての学界・実務界における研究成果の状況を紹介・検討したのが、後藤巻則=村千鶴子「学界回顧・消費者法」(法律時報75巻13号)である。さらに、後藤巻則「消費者法制をめぐる動向」(国民生活2004年5月号)で、最近の消費者関連法の改正動向を紹介・検討した(脱稿済み、2004年4月刊行予定)。
 さらに、この時期、東京都消費生活対策審議会委員として、消費者行政の実務に従事し、部会長として、「東京都消費生活条例に基づく保証表示のあり方及び指定する商品等の見直し」を課題とする検討の中間報告をまとめた。また、普及しつつあるが、問題も多いIP電話の提供業者のネット上のサイトの表示の適正さにつき実態調査を行い、報告書を東京都に提出した。これらは、行政サイドからの要請に基づく調査・研究であるが、「消費者被害の実態と消費者救済の実効性確保」という本研究の一環として位置づけることができる。
                                                         以上