表題番号:2003A-634
日付:2005/03/22
研究課題理工系留学生のための「専門連語」集の作成
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | 大学院日本語教育研究科 | 教授 | 小宮 千鶴子 |
- 研究成果概要
- 本研究の目的は、理工系の専門教育を日本語で受ける留学生に必要な物理学・化学・数学の基本的専門語の使い方を専門連語で示すために、高校教科書を資料とした専門連語集を作成することである。専門連語とは、「音波が伝わる」「窒素の沸点」のように、専門語と一般語とから成る連語のうち連語としても専門的概念を表すもので、専門語の使い方として学習者に示すべき連語である。
①専門連語の選定を行う専門語の決定
2002年度版高校教科書の、物理ⅠB14冊、物理Ⅱ7冊、化学ⅠB15冊、化学Ⅱ10冊、数学Ⅰ26冊、数学Ⅱ26冊、数学Ⅲ20冊の索引の語のうち半数以上の教科書の索引にあった専門語とした。すなわち、物理は1771語中422語(23.8%)、化学は2693語中737語(27.4%)、数学は783語中173語(22.1%)である。全体の専門語数は、化学が最も多く、次いで物理で、数学は最も少なく化学の3分の1以下だった。また、半数以上の教科書にあった専門語は、3科目とも全体の4分の1前後だった。
②専門連語候補の抽出
係り受けの解析プログラムであるcabochaを用いて①で決定した専門語を含む連語を教科書の本文から抽出し、2冊以上の教科書にあった専門連語候補から明らかに専門連語でないものを除いたものを各科目3名の専門家に専門連語か否かの判定を依頼した。
専門連語の判定の依頼をした専門連語候補の数は、次のとおりである。物理2747件、化学4304件、数学1053件
③専門連語の判定
各科目とも3名の判定者が一致して専門連語と判定した専門連語候補を専門連語とした。
④専門連語集の作成
専門連語と判定された連語を含む用例文を科目別、専門語別にまとめて専門連語集とした。