表題番号:2003A-631 日付:2005/03/01
研究課題紫外線A領域直測センサ用ZnMgCdS系混晶材料の創製
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 教授 小林 正和
研究成果概要
GaAsに格子整合し、かつ室温でのEgを3eVに制御可能なZnMgCdS系材料に注目し、紫外線センサへの適応性を検討した。4元混晶に限定することなく、センサ特性改善のため超格子構造のZn0.6Cd0.4S/Mg0.8Cd0.2Sを作製し、紫外線センサへの適応性の検討を行なったところZnMgCdS材料の場合と同様に紫外光のみ選択的に感度のあるセンサを作製することができた。しかし、結晶成長とともに3次元成長が起こり結晶性が悪化し、センサ特性に影響が出るという問題が明らかになった。そこで、従来とはことなり、GaAs基板上に作製する代わりにエピタキシャル成長させた平坦なGaAs上にZnCdS/MgCdSを作製し、結晶性の改善とセンサの分光感度特性の改善を試みた。(100)GaAsエピタキシャル膜上にZnSeバッファ層成長後、ZnMgS/CdMgSをZn、Mg及びCdS化合物を用いて成長させた。組成はZn 0.4Cd 0.6S/Mg 0.8Cd 0.2S付近に設定し、層厚は9 –60Å/8 –20Åで作製した。RHEED観察においてGaAs基板上にZnSeバッファ層を成長した場合は成長開始直後からスポットになった。それに対しGaAsエピタキシャル膜上の場合は成長開始直後からストリークが見られ、超格子600nm成長後でもGaAsエピタキシャル膜上に成長したものはストリークが保たれていた。これらのことはGaAsとの界面の平坦性が改善されたことにより超格子の結晶性を改善できたためと考えられる。PL・反射スペクトルから2.95eV付近にEgに対応した強い発光が得られた。本超格子を用いて光導電素子のUVAセンサを作製したところ、従来の構造に比べカットオフ波長付近での感度特性が改善された。