表題番号:2003A-577
日付:2005/10/12
研究課題ペブロスカイト構造を持つ希薄磁性半導体の開発
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | 理工学術院 | 助教授 | 勝藤 拓郎 |
- 研究成果概要
- SrTiO3は、立方晶ペロブスカイト構造をとり、Tiの3d軌道とOの2p軌道からなる伝導体を持った半導体である。2価のSrを3価のLaで置換することにより、Tiに電子がドープされて伝導体になることが知られている。このSrTiO3に、電子に加えて、スピンをドープすることにより、新しい希薄磁性半導体を作製することが可能である。本研究では、CrでTiを置換することによってスピンドーピングを行い、磁気抵抗を中心とした磁性と電気伝導の結合の様子を実験的に明らかにした。
その結果,スピン濃度を固定して、電子濃度を増加させることによって、ワイス温度が負から正に変化することを見出した。これは、スピン間にキャリアーを通じた強磁性相互作用が働いていることを意味している。また、電気抵抗は低温に向かって増大し、これに磁場をかけると電気抵抗が大きく減少する(負の磁気抵抗)が明らかになった。これは、スピンの揺らぎによってキャリアーが散乱されることにより電気抵抗が増大し、それに磁場をかけるとスピンの向きが揃うことによってキャリアーの散乱が抑制され、電気抵抗が減少すると考えられる。電子の濃度とスピンの濃度を独立に制御することによって磁気抵抗の大きさを最大化することが可能であり、スピン濃度20%、電子濃度10%の組成で、最大70%の負の磁気抵抗(電気抵抗が磁場によって1/3以下に減少する)を見出した。