表題番号:2003A-553 日付:2005/03/24
研究課題分野固有的知識の統合による総合学習的ドイツ語読解教育に関する研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 商学学術院 助教授 原口 厚
研究成果概要
本研究期間においては、言語的知識とテクスト内容に関連する背景的、概念的知識の統合によるテクスト理解の促進と内容的知識の拡大を追求する総合学習的ドイツ語読解教育に関する資料の収集と研究を主として行い、その成果を論文として公表すると共に、「ドイツ語読解法」の受講者を対象として実験的授業を行った。具体的には下記の通りである。
① スキーマ理論と<先行オーガナイザー>の理論を中心とする学習心理学及び統合的カリキュラムに関する先行研究の調査を行い、知識の獲得と保持における多様な知識の相関と予備的知識の重要性及び今後の大学における総合学習的教育の重要性についての認識を深めた。その結果、学習者になじみの薄い非文法訳読型の総合学習的な読解授業を行うにあたっては、学習者の授業への適切な導入と適合化を図ることによって授業の実効性を高めるために、当該の授業の概要を提示し、趣旨を徹底し、第二回目以降の授業に対して<先行オーガナイザー>として機能するガイダンス的授業をまず最初に行うことが不可欠であるとの結論に達した。その成果は論文として公表した。
② <食糧問題>とこれに関連する諸問題についてのドイツ語テクストを収集し、特定領域集中型読解法に基づく一連の読解教材を作成し、2004年度秋学期に試用した。
③ ドイツ語テクストの読解に先立ち、テーマの概要を提示し、十分な背景的知識を与えるべく、2004年度の春学期には<少子高齢化>、同秋学期には<食糧問題>に関する日本語の新聞、雑誌記事の切抜きからなる<資料集>を作成し学習者に配布した。学期中に掲載された新聞、雑誌記事で有益なものについても随時配布した。書籍については、特に日本の少子高齢社会化と関連して、学習者がいずれ選択を迫られる就職、結婚、子育てといった問題について、将来の人生設計という観点から参考となると思われるものを選び、内容の紹介を行った。
④ 教材テクストのテーマに関する理解を更に視覚的、情意的側面からも促進、補強、拡大すべく、文字情報に加えて、少子高齢化と食糧問題に関するNHK特集等の録画による映像資料を教材テクストの内容と相関させつつ何度か提示した。
 授業評価においては②-④の試み、特に日本語の<参考資料>と映像資料を肯定的に評価する学習者の意見が多く見られた。