表題番号:2003A-550 日付:2005/03/24
研究課題第三次産業革命のビジネス・システムとしてのコンビニエンス・ストアの研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 商学学術院 教授 川邉 信雄
研究成果概要
 コンビニエンス・ストアは、アメリカで1920年代に誕生し、日本には1960年代の末に導入された。1970年代以降急速に日本で発展し、本家のアメリカよりもはるかに高度な経営制度を構築するまでになった。コンビニエンス・ストア業界のリーダーであるセブンーイレブン・ジャパンなどは、トヨタ自動車などと並ぶ日本を代表する企業にまで発展している。さらに、コンビニエンス・ストアは、従来小売業界で指導的な役割を果たしていた百貨店や総合スーパーを凌ぐまでになっている。
 本研究は、日本においてなぜ、いかにしてコンビニエンス・ストアが急速に発展したのかを明らかにすることを目的としている。とくに従来の百貨店や総合スーパーが大量仕入・大量販売を基礎とするいわば第二次産業革命のビジネス・システムを構築したのに対して、コンビニエンス・ストアは単品管理により顧客のニーズに対応したネットワーク型のビジネス・システムを構築した。これは、第三次産業革命のビジネス・システムともいうべきものである。
 従来おこなってきたセブンーイレブン・ジャパンの研究にに加えて、本研究ではこの第三次産業革命のビジネス・システムという観点から、ローソンやファミリーマートの大手企業、セイコーマートやポプラなどの中堅企業、さらにはオレンジ・ボックスなど地方限定で活躍する小規模企業まで含めて、業界全体の発展を分析した。また今回の研究では、アメリカやメキシコの北米、台湾やタイなどのアジア諸国でのコンビニエンス・ストアも比較史的視点から研究した。
 本研究によって、日本では1970年代ごろから第三次産業革命への移行が顕著になり、その対応としてのビジネス・システムとして、コンビニエンス・ストアの発展がみられたことが明らかになったといえる。