表題番号:2003A-541 日付:2006/03/25
研究課題微地形区分を基礎とした全国平野地形GISデータベース整備とその防災への応用
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 教育・総合科学学術院 助教授 久保 純子
研究成果概要
 本研究は全国の平野部を対象とした統一基準による地形・地盤データベース整備を目的とする。
 大規模地震や水害など、全国を対象とした防災システムには統一基準で作成されたデータが必要である。もっとも基礎的データとして、地形・地盤データが挙げられる。国土数値情報の整備に伴い、全国が緯度経度によるメッシュに区分され、各メッシュごとの地形・地質データが作成されたが、国土数値情報の地形分類データや地質データを全国的に利用する場合は凡例の不統一のため、そのままでは各区分が意味をなさなかった。また、メッシュマップでは微地形による地表環境の違いや災害との対応が十分反映されなかった。そこで本研究ではとくに平野部の微地形に注目し、平野地形のGISデータ整備をめざした。
 これまでの関連する研究において、防災的な見地から全国の地形・地盤メッシュマップを作成したが、地質区分は「(第四紀)火山岩」「第四系」「第三系」「先第三系」とし、地形区分は「山地、丘陵地、山麓地」「火山地」「台地」「低地」の中をそれぞれ起伏量や堆積物等により細分した。とくに、低地はかなり詳細な区分とした。山地・丘陵地・台地部に分布する河川沿いの狭長な低地を「谷底平野」として独立させ、それ以外の広い沖積低地を「扇状地」、「後背湿地」、「三角州・海岸低地」に区分した。さらに、「自然堤防」、「旧河道」、「砂州・砂礫州」、「砂丘」に区別した。また、「干拓地」と「埋立地」を区別した。これら低地の微地形の区分は、国土地理院の土地条件図や、大矢雅彦らによる水害地形分類図で用いられているものである。
 以上の方法で地形・地盤分類デジタルマップ(メッシュマップ)を作成したが、今後は地形区分ごとのポリゴンデータ整備をめざすとともに、地震や水害などの広域ハザードの入力・解析をすすめ、今後予測される大規模ハザードの被害予測における有効性を検討してゆく予定である。