表題番号:2003A-513 日付:2005/11/23
研究課題ドイツ語教育におけるドイツ語習得過程と学習活動および学習デザインの分析
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 法学学術院 専任講師 星井 牧子
研究成果概要
教室における外国語学習の過程を考える上でインターアクションが重要な意味を持つことは従来もしばしば指摘されているが、複数の学習者が存在する教室内インターアクションは多層的な性格をもち、インターアクションにおける言語行動のみの分析では学習者の学習活動を理解することはできない。また、実際の授業場面では、個々の学習者からみると、教師とのインターアクションの中で自分自身が発話するのではなく、他の学習者の発話を聴くという時間も多く、学習者の認知活動としての外国語学習は、個々の学習者の内的なプロセスとして、教師・学習者間インターアクションに直接参加しない場面でもおこなわれており、学習活動は学習者が発話する場面だけに限られるわけではない。複数の参加者を持つ教室という場での外国語学習を考える上では、インターアクションに直接関与しない学習者の内的な学習プロセスのあり方にも目を向け、教材や学習課題を含めて、学習が効果的に行われるように授業をデザインしていくことが必要になる。このような考え方に基づき、本研究では、授業内のインターアクション、特に課題設定と学習活動の関係について、実際の授業データをもとに分析をおこなった。具体的には法学部1年生の授業において、ビデオカメラとMDを用いてグループ作業の様子を記録・文字化して考察をおこなった他、個別作業の課題を与え、発話思考法を用いて問題解決の過程を記録したり、ペアワークに於ける学習者同士の協同学習の様子の記録・分析を行った。学習活動の個々の学習者のつまづきや疑問は必ずしも授業での学習者の発話に観察されるわけではなく、学習者は外から観察されるよりもはるかに多くの疑問を抱えながら、授業の中で外国語を学習していることが観察されている。以上のことからも、今後、より効果的な効果的なドイツ語教育・ドイツ語学習のための授業デザインを考える際には、何をどのように教えるか、だけではなく、学習者が何をどのように学んでいるのか、という、学習者の学習活動を視野に入れることが重要であると考えられる。